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ひびのいろいろ

書評

変光星

変光星──ある自閉症者の少女期の回想森口 奈緒美遠見書房 ( 2014-07-01 )ISBN: 9784904536735FakePlasticTreeで詳細を見る 夏休みに読了した書籍。確か購入したのは学会会場であった。1年前だったと思う。ずっと積ん読された書籍の中に混じっていて読む機会…

子どもを殺してくだいという親たち

「子供を殺してください」という親たち (新潮文庫)押川 剛新潮社 ( 2015-06-26 )ISBN: 9784101267616FakePlasticTreeで詳細を見る 著者は精神障害者移送サービスを職業にしている。患者の家族と精神科の家族の橋渡しをするような存在。そんな著者が描くノン…

医師の感情

医師の感情: 「平静の心」がゆれるときDanielle Ofri医学書院 ( 2016-05-30 )ISBN: 9784260025034FakePlasticTreeで詳細を見る 医師として生きてゆくことは恐れと共に生きてゆくということであり、恐れはその生活の一部となるのだ (P162) 幻聴か幻覚が分から…

ゴールデンゴールド

刻々という漫画はここ数年に発表されたサスペンスSF漫画の中でも群を抜いて出来が良かった。SFサスペンスというカテゴリーを取っ払っても非常に出来の良い作品であった。漫画としての分量(ストーリーの長さ)も適量。人気漫画にありがちな間延びした展開な…

大人はもっと遊びなさい

齢四十を過ぎて少し意識していることがある。それはちょっとだけ積極的に遊んでみるということ。 二十代や三十代の時はそれが出来なかった。学生の前半は全く勉強などせずに自分の好きなことに明け暮れていた。学年が進むにつれそれは出来なくなった。要領が…

【書評】不運と思うな。大人の流儀6

不運と思うな。大人の流儀6 a genuine way of life伊集院 静講談社 ( 2016-07-05 )ISBN: 9784062201575FakePlasticTreeで詳細を見る こんな大人になれたらかっこよいなあ。もちろん本作の著者である伊集院静氏のことだ。 何気なく立ち寄った東中野の駅ビルの…

【書評】ぼくは君たちを憎まないことにした

バングラデシュ テロ、日本人7人死亡 伊9人含め20人犠牲 :日本経済新聞 バングラデシュで日本人が殺された。所謂民間人に対してのテロといつやつだ。バングラディシュはかなり親日の国だと聞いていたので衝撃だった。 世界の中では何時こんな事が生じるの…

ちょっと便利な本

根っからの貧乏性なのか、”裏ワザ”とか”ちょっと便利なこと”が大好きだ。それを発見して実践することで少しだけ幸せな気持ちになれる。1つ1つはたいしたことがないのかもしれない。しかしちょっと得した気持ちになるのが大好きだ。 僕の思春期時代はファミコ…

中野と手塚治虫とまんだらけ

手塚治虫と言えば中野というイメージなのだった。 僕が子どもの頃から中野ブロードウェイという商店街は中野駅前に存在し、その中に巨大な古本屋があった。その古本屋は年々巨大になってゆくのだけれど。80〜90年代においても充分巨大であった。古本屋の名前…

中々の良書でした

プレゼンというとPowerPoint。 しかしPowerPointやKeynoteでのそれは流石に最近飽き飽きしているのが正直なところ。どんな説明を受けたりそしてこちらから提示する時にも両者で作成したファイルを見かける。同じようなレイアウト。スライドの画面に操られて…

連載開始10年目にして全く衰えず

キングダム 42 (ヤングジャンプコミックス)原 泰久集英社 ( 2016-04-19 )ISBN: 9784088903965FakePlasticTreeで詳細を見る 十年前と言ったら自分は一体何をしていたんだろう?? 少し思い返してみた。きっと仕事場を変わってちょっとした頃だ。子どももまだ…

【書評】陰惨な作品

どこまでも陰惨な作品だ。 レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ(3) (KCデラックス イブニング)山本 直樹 / 講談社 ( 2016-02-23 )FakePlasticTreeで詳細を見る 読み進める度に気分が落込み何ともやりきれない想いが心の中で飽和してくる。絶望的な閉塞感。…

【書評】天才

天才石原 慎太郎幻冬舎 ( 2016-01-22 )ISBN: 9784344028777FakePlasticTreeで詳細を見る 今現在、書店の中で注目を最も集めている書籍の1つと言えば本書だろう。石原慎太郎氏が一人称で描いた田中角栄氏の自伝的小説。 僕が印象的な政治家を3人挙げるとした…

LeicaQとキュレーション術の本

もう人生の折り返し地点は過ぎたのだろう。そんな年齢になってしまった。きっと色々な選択肢は同時に選べない。「まず1回試してみる」ということをするには時間が限られている。今からパイロットのライセンスと外科医の専門医のライセンスを同時に取得するよ…

完結! 僕だけがいない街

僕だけがいない街 (8) (カドカワコミックス・エース)三部 けいKADOKAWA/角川書店 ( 2016-04-26 )ISBN: 9784041039151FakePlasticTreeで詳細を見る 日本文化の中で世界の最先端を走っているもの。そんなものを1つ挙げるとしたら僕は漫画を選ぶだろう。アニメ…

世界の果ての子どもたち

テレビの画面の中で双方泣き崩れて抱き合い再開を喜ぶ場面が、繰り返し放映される。昭和40年代生まれの自分にとってそれが中国残留孤児に対してもつ印象だ。季節の何度かはそんな場面が放映され、年月が経つにつれてそんなことも少なくなっていった。再会がで…

【書評】島倉千代子という人生

島倉千代子の伝記。伝記というか芸能の世界に足を踏み入れた頃からの話をまとめてある書籍。 島倉千代子という人生田勢 康弘新潮社 ( 1999-02 )ISBN: 9784103967033FakePlasticTreeで詳細を見る 島倉千代子といえば「人生いろいろ」 僕の世代だとそれしか思…

押切蓮介氏「haha」

ピコピコ少年TURBO押切蓮介 / 太田出版 ( 2011-11-29 )FakePlasticTreeで詳細を見る 押切蓮介氏の作品は上記の「ピコピコ少年」という作品で初めて知った。昭和60年代ごろに少年期を送った人々にとっては非常に懐かしい思い出深いゲームが主役の漫画だった。…

【書評】キングダム41巻

キングダムは毎回新刊が発売される度に単行本を購入していた。今回もそうしようと考えていた。考えていたが少し躊躇った。何故かというと毎回単行本を購入すると自宅の本棚スペースがとても狭くなってしまうから。読んですぐに古本屋に買取を頼めばよいじゃ…

【書評】ひとりぼっちを笑うな

ひとりぼっちを笑うな (角川oneテーマ21)蛭子 能収KADOKAWA/角川書店 ( 2014-08-18 )ISBN: 9784041018118FakePlasticTreeで詳細を見る 蛭子能収氏といえばもう随分と前からテレビのバラエティー番組の常連だ。テレビを通して氏を拝見するといつもニコニコし…

清原選手の報道に想う

清原選手の報道に想う 清原和博選手が逮捕された。衝撃的なことだ。甲子園で活躍していた頃はPL学園は自分にとって悪役だった。それは圧倒的であったからだ。桑田選手と清原選手のKKコンビ。風神雷神のようなそそり立つ壁。もう絶対にこの2人が存在するPL学園…

【書評】蛇行する月

桜木紫乃氏の小説に出会ったのは「ラブレス」が始まりだった。黄色の背景に青い蝶。なんとも派手な、どぎつい表紙。書評記事などの評判があまりにも良かったので普段あまり読まないジャンルだけれどもあえて読んでみたのだった。 www.yoshitaka4729.com 結果…

【書評】賊軍の昭和史

www.yoshitaka4729.com 幕末関連の書籍を読むと次々と読みたくなってしまう。それだけ興味(知識欲)を刺激されることが多いのだろう。とりわけ上記の本は新鮮だった。自分の中の薩長土肥のイメージを少し変えることができた書籍だ。物事は何にだって良い面…

幕末の本をまた1冊【書評】明治維新という過ち―日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト

幕末の書籍というと僕はどうしたって『風雲児たち』を思い浮かべる。関ヶ原の戦いから始まる幕末の漫画はこの作品ぐらいだろう。 www.yoshitaka4729.com 1年に2回の頻度で発表されるこの書籍は作者の年齢から考えると完結するのはほぼ絶望的。そんな悲しみも…

スター・ウォーズよりもこっちかな

時代の流れに乗りやすいたちなので、スター・ウォーズの新作は当然観に行った。いったのは新宿の映画館。最近の映画は3Dか2D以外にも音声環境の種類によっても会場が変わるようでとにかくどのバージョンを見ればよいのかさっぱり分からない。正月の時期でもあ…

今年読了した書籍たちの中でマイベスト(漫画を含む)

この一年間はあまり書籍を読むことができなかった。そして漫画を読むことが多かった。本を読めない年というのはそれだけ自分に余裕がないということ。振り返ってみるとやっぱりこの1年は余裕がなかった。その余裕のなさは結局仕事にも繋がって、あまり創造的…

【書評】そして生活はつづく

そして生活はつづく (文春文庫)星野 源文藝春秋 ( 2013-01-04 )ISBN: 9784167838386FakePlasticTreeで詳細を見る 久々に読んだエッセイ。生活の何気ないできごとを魅力的にまとまりがないようで、まとまりのある文章で書いている。とにかく気軽に読めて文章が…

【書評】ヒキコモリ漂流記

著者はたぶん40歳代前半。名前は山田ルイ13世。「髭男爵」という一世を風靡したコンビの1人。シルクハットをかぶり、ワイングラスを傾ける大柄な男。世間的には所謂一発屋として知られているのかもしれない。 僕と同世代のそんな山田氏の自分の半生を綴るの…

【書評】いぬやしき5巻

GANTZといえば史上最強に絵が綺麗で漫画のレベルを超える作品。そして序盤は最大の盛り上がりを見せるものの、その後の尻つぼみ感も史上最強クラスの印象深い作品。 特に初巻から10巻ぐらいまでの盛り上がり方は空前絶後というか、超名作作品の香りがプンプン…

第一部が終了した『スラップスティック』

著者の作品はどこか自己破壊的。それでありながら、他人に対しての優しさが溢れている。そんなことを常日頃僕は考えていた。そんな輪郭のないぼやっとした想いが本書によって明確になった。 そんな作品の名前は「スラップスティック」。スラップスティックとは…