FakePlasticTree

ひびのいろいろ

第一部が終了した『スラップスティック』

著者の作品はどこか自己破壊的。それでありながら、他人に対しての優しさが溢れている。そんなことを常日頃僕は考えていた。そんな輪郭のないぼやっとした想いが本書によって明確になった。

そんな作品の名前は「スラップスティック」。スラップスティックとは叩く(slap)棒(stick)という意味。この意味が作品の中でどんな意味を持つかは作品途中で明らかになる。その意味するところはやっぱり絶望的だ。

同じような題材を扱った漫画には超名作である松本大洋氏の『Sunny』があるが、本作はより荒涼としている。というかザラザラとした刃物のような作風。

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スラップスティックの第一巻を読了した時あまりの衝撃の強さに速攻でブログにその内容をアップした。

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『まだ俺は本気だしてないだけ』という著者の代表作を凌ぐ勢いで展開してゆく物語。酷い暴力の話。絵柄は木訥としているが、その内容は凄惨で救いようがない。しかし生活のほんの少しの間に暖かさを感じる。近所の叔父さんと共に居酒屋でささやかなお祝いをするような、そんな些細な場面に少しの救いを感じる。

本作は第Ⅲ巻で一部が終了した。今後この物語にどういう風な結末をつけてゆくのか本当に楽しみ。