子どもを殺してくだいという親たち
著者は精神障害者移送サービスを職業にしている。患者の家族と精神科の家族の橋渡しをするような存在。そんな著者が描くノンフィクション。家族から依頼され当事者を病院に連れて行く(しかも、そのほとどが入院対象者となることが多い)。本書のタイトルは”子ども”となっている。しかし子どもといっても30から40代の大人であることが殆ど。
当然様々な危険も伴っているんだろう。もしかしたら、本書に書けないような様々な現実もあるのだろう。 やはり現実は厳しくて本書を読み進めていくと暗澹たる気持ちとなる。どこにも救いはないのではないか?と感ずる人も多いのではないか。それは筆者も日々感じて射ることであろう。そして自分自身も毎日その重いに打ちひしがれている。
しかも著者は民営で上記のことを行っているので法律から守られているわけでも何でもない。本書を読めばわかるのだが、時間的にも束縛が多い。お金目的でやる商売ではないだろう。
パーソナリティ障害に対する治療は確かに難しく、画期的に良くなる可能性も高いわけではない。しかし、治療も含め自分に対してなされたことは、患者の心に必ず残る。だからこそ、やらないよりはやったほうがいい (P204)
こういう思いをこころに留めてひたむきにやってゆくしかない。それは僕も同じだ。 やらないより、やったほうが良い。
しかしせめて金銭的な補助が国や地方自治体から出るか、このような役割事態をもっと公的機関が積極的に行うべきではないか?と考えるのだ。