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ひびのいろいろ

【書評】ひとりぼっちを笑うな

 蛭子能収氏といえばもう随分と前からテレビのバラエティー番組の常連だ。テレビを通して氏を拝見するといつもニコニコしている。ニコニコしているというよりもヘラヘラしている。そんな印象だろうか。とにかく長い間、不思議な存在としてテレビに出続けている。氏が漫画家であるということはあまり重要な因子じゃなくなって、むしろテレビタレントとしての認知度としてのほうが大きいんじゃないのか。

 ふと書店を覗くと、蛭子さん関連の書籍が結構ある。漫画だけでなくて、活字も書くのだな。とおもって手に取った書籍がこちら。「ひとりぼっちを笑うな」。「ひとりぼっち」と書名には出ているが、氏はまったくそうでない。群れない力をもっているだけだ。”ひとりぼっち”を笑うような人にありがちな、群れていないと自分を保てないような人間でない。孤独に耐えることができる人間なのだろう。

 孤独に耐えうる人物とはどんな人間か?この書籍を読んでなんとなく理解できた。

  • クリエイティブな作業(仕事)をもっていること
  • 家族(かそれに近い存在)に支えられていること
  • 休日を1人で過ごす力(趣味)をもっていること
  • 経済的に安定していること(仕事をしていること)
  • 誰かに認められていること

思いつくままに列挙してみたがこんなところだろうか。しかし上記の条件を全て満たす人はそんなにはいないだろう。そしてかなりの本人なりの努力が必要だ。実際筆者は外見にそぐわず(失礼!)、かなりの努力家だ。努力家というか継続する力、真面目にコツコツと行う力がある。それは本書のこんな一文に現れている。

要は、仕事に対するその人の心持ちですよね。「俺は、こんな仕事をする人間じゃない」「どうしてここにいるんだろう」なんて思わずに、まずはきっちり目の前のことをやる。それがすべてですよ。

そしてこんな一文を読んで何だか凄くほっとするのだ

できれば〝目立ちたくない〟僕ですが、誰かに〝褒められたい〟という気持ちはあります。