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ひびのいろいろ

【書評】そして生活はつづく

久々に読んだエッセイ。生活の何気ないできごとを魅力的にまとまりがないようで、まとまりのある文章で書いている。とにかく気軽に読めて文章が軽快かつ面白い。多分凄く有名な人だが、僕はこのエッセイで初めて筆者のことを知った。

著者の歌も大ヒットしていてiTunesの音楽部門でもその曲は上位に入っている。曲調はいかにもおしゃれな佇まい。一昔前の”渋谷系”と言われた人々の音楽のようだ。まさかエッセイで”うんこ”の話をしている人の曲とは思えない。

色々多彩な人物が実は生活の多くで適応ができていなくて破滅的であるという部分に強く惹かれる。それは

『あなたは、自分の便がついてるパンツを洗うときの切なさを知っているか。急いでトイレに駆け込んだら既に二人並んでいたときの絶望感を知っているか。トイレで並んでいて、中からケータイをいじる音が聞こえたときに感じる怒りを知っているか』

という部分に現れるような男の切なさであったり,

『小学生の頃、毎週木曜日の夜に放送していたとんねるずのバラエティー番組だけが、生きる糧だった時期がある』

という部分の思春期の孤独だったりする。

役者もやっていたりして本当に多才な人だが、それぞれの分野に個性があってエッセイ、音楽、役者それぞれに旨味がある人だ。