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ひびのいろいろ

【書評】ルポ 児童相談所

児童相談所に良いイメージを抱く人は少ない。

子どもの虐待のニュースが流れるときに真っ先に非難されるのは加害者である親と児童相談所の体制であることが多い。人々は分かりやすい構造を好む。そのほうが心が落ち着くからだ。

しかし児童相談所がいったいどんな業務を日々行っているのか?そして被虐待児である子どもたちがどのように過ごしているのか?を具体的に知っている人は少ない。日々のTVなどの報道では表面的な部分にとどまるし、いくら衝撃的なニュースでも時間の経過とともにあっと言う間に人々の記憶の中から流れ去ってしまう。

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たとえば最近読んだ上記の本で取り上げられた3つの事件についてその後の経過などについて知っていたり、調べたりした人は非常に少ないだろう。悲しいけれど人間なんてそんなもんだ。

本書の著者は以前児童養護施設に実際に仮職員としてボランティアで参加し、その制度の問題点と今後の解決策について書籍化した人物だ。なにより凄いのはその後実際に基金を設立して行動を起こしているところ。普段は企業人として働いているところだ。

自分自身も僅かな金額ながらこの活動に共鳴して参加をしている。

その著者が新しく書いたのがこの児童相談所に関する書籍だ。前書と同じく実際に児童相談所の一時保護所の中で寝泊まりし、現場の雰囲気を肌で感じて書籍を書いている。

その内容について、現場の人々が読めば様々な想いも沸き上がるに違いない。しかしその情熱は素晴らしい。きちんとデータを調べ、組み合わせ 実体験というフィルターを通してその後の解決策を提示している。

どこからこんなエネルギーが出るのだろう?とちょっと不思議にも感じるが読んでいて気持ちの良い、素晴らしいルポには間違いない。