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【書評】世界史としての日本史

歴史はとにかく面白い。かといって本格的な歴史書を読むのは気が重い。そして時間がかかる。だから自分はどうしても新書などで表面的なものに触れることが多い。時間があれば・・・というのは単に言い訳に過ぎないのは分かっているけれどやっぱり時間がない。

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半藤氏はこの幕末史から知って以降ファンになった作家である。歴史の詳細を分かり易く、系統だてて解説してくれる。どの氏のどの作品も素晴らしい。この「幕末史」と何冊か分冊になっている「昭和史」は別格に面白い。

世界史としての日本史 (小学館新書)
半藤 一利, 出口 治明
小学館 ( 2016-08-01 )
ISBN: 9784098252800

その半藤氏とライフネット生命保険の出口氏の対談本を読んだ。ライフネット生命保険は自分自身がお世話になっている会社。その社長は歴史家といってもよいほどに歴史に造詣が深い。特に世界史についての書籍を数多く執筆している。

そんな2人の対談がつまらない訳がない。やっぱり抜群に面白かった。

本書の初めにある一文が強烈だった。

自国は特別であるという意識は実は東アジアの各国に特徴的な現象で、その底流にあるのが「中華思想」だと僕は思っています (P20)

当たり前というか、言われてみれば当然なのだけれど、日本人も含めて(そう、僕も含めて)そうなんだよなな。 日本が第二次世界大戦で敗戦した理由についても良く書かれている。理由としては第一次世界大戦を肌で実感していなかったこと、経済感覚が軍人に欠けていたことなど。

歴史とは関係ないが、終盤で出てくるこの台詞にもハッとさせられる。

今までは体力の再生産だけで良かったのが、これからは知的能力の再生産が必要になってくる。寝る間を惜しんで長時間働いていたら勉強する暇がない、バカンスがなければ勉強する暇がないのです。 (P237)

そうなんだよな。勉強しないと。頑張るだけでは駄目なんだ。そして嬉しいことに本書はオススメの歴史書を数多く紹介してくれている。値段が効果なものも多いけれど、どれも面白そうなものばかり。