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ひびのいろいろ

【書評】怒りと笑いと切なさと創造性

最近ちょっとしたきっかけから、病気の母をもった子どもの本を何冊か読んでいる。

昨日読んだのはこれ。

作者が四歳の時に母親が病気を発症し、ほぼ母娘の二人で生活してきた様子を描く漫画。内容は衝撃的で重いけど、絵柄が可愛いせいか最後まで抵抗なく読むことができる。作者の母親が病気でありながらも、娘のことをとてつもなく愛している様子がうかがえるのが素晴らしい。それが作者の文脈からうかがえる。

自分の過去の重くつらい話を笑いを交えながら語ることができる』というのは相当に凄いこと。この本がAmazonのレビューなどで絶賛されているのにも納得する。まだ1巻しか読んでいないけれど、続きの巻も購入して読んで見よう。とにかく素晴らしい本だった。

何かを創造してゆくこと

なにかを創造していくことは自分の過去の出来事と向き合いながら消化してゆくのに非情に有用な一手なんだろう。思えば、自分が好きな本であったり音楽であったりはそういうエッセンスが垣間見られるものが多い気がする。

大好きなメタルバンドである「Korn」もそう。ボーカルは幼少時から酷い虐待と虐めを受けて育ってきた。

コーン (バンド) - Wikipedia

その曲には怒りの中に悲しさや切なさがある。そんな雰囲気が心を締め付けられ、なんともいえない気分になりやみつきになるのだろう。前述した"中村ユキ"さんとは正反対の昇華の仕方。それにしても今聞いても凄まじい音楽だ。

愛着障害~子ども時代を引きずる人々~ (光文社新書)』 の一節より

そこ(愛着障害)からくる「欠落」を心のなかに抱えていなければ、直接に生産に寄与するわけでもない創作という行為に取りつかれ、人生の多くを費やしたりはしないだろう。書いても書いても癒し尽くされない心の空洞があってこそ、作品を生み出し続けることができるのだ。