FakePlasticTree

ひびのいろいろ

【書評】"渋さ"と"穏やかさ"

「歳をとる」ということはとんでもなく嫌なものだと以前は考えていた。外見はみっともなくなるし。お腹は出てくるし、髪の毛も薄くなる。病気がちになるし、疲れやすくなってお酒もたくさん呑めなくなる(元からあんまり、のめないけど)。そんな嫌なイメージばっかり。将来は暗い。10代とか20代のころは常にそんな感じ。色々なことに諦めきれず窒息しそうな感じでとにかく苦しい。

しかし最近つくづく実感する。歳をとる、生き続けるっていいもんだなぁと。それは最近読んだ本にも影響されているのかもしれない。その本は以下の二冊。

特に後者の夏苅郁子先生の本は自分にとって衝撃的であった。同じ職種の先生が書いた自叙伝。自分の半生をこちらが心配になるぐらい赤裸々に描いている。そしてそんな自分の半生を認めている。重ぐるしく窒息してしまいそうな内容なのに読み終わった後はむしろ爽快感さえ感じてしまう素晴らしい本であった。

こんな内容の本は恐らく著者が若い年代であったらとても書くことができなかったであろう。著者が生き続けていてくればこその内容だ。最近の講演会で"以前と比べて穏やかになった"と指摘されたみたいだが、まさにそんな感じの年齢の重ね方。

加齢と音楽

音楽にも同じようなことがあてはまって、昨年復帰した華原朋美。全盛期の彼女の歌声は耳に突き刺さり、微妙に音程がずれているようないんしょうもあってあんまり好きじゃなかった。しかし先日復帰した時の映像を見て驚いた。声も伸びやかだし、深みが以前と比較して全く別次元。

色々な経験をしたのだろうけどこういう姿をみるとやっぱり歳をとるのって素晴らしいと考える。

そういえばオジーオズボーンの「Changes」や「Road to Nowhere」は僕にとってどんな他の曲よりも泣ける必聴のパラードだ。年に何回かは必ずリピートして聞いている。

彼のビデオを見ると本当に泣けてくる。波乱万丈な人生を送ってきたことが伝わるバラード。年齢を経てきたのもだけにしか伝えられない音楽。2つの曲ともに歌詞も逸品なのだ。彼のドキュメント映画も素晴らしかった。

【映画】『Ozzy Bless』(放題:オジー降臨)を見た | FakePlasticTree

やっぱりスマートじゃなくても何とか生きていくって素晴らしい。

via PressSync