女の哀しみ 「あまちゃん」と「桜木紫乃」【書評】ホテルローヤル
今更ながら本当に今更ながらNHKの朝の連続ドラマの「あまちゃん」にはまっている。NHKオンデマンドというサービスにも入ったりしてそれこそそのはまりようは自分でもびっくりするぐらいだ。NHKオンデマンドに入会登録数してからまだ1ヶ月ぐらいしかたっていないのにもうすでに60回目の放送まで見てしまった。
一般的にいわれていることだがやはり脚本が圧倒的に素晴らしい。ギャグのセンスが秀逸でいやらしさやクドさがない。
時々「クスッと」思わず笑ってしまうようなところが「あまちゃん」の魅力。しかしそのウラに女の格好悪さとか哀れな感じがそこはかとなく滲み出ているところもこのドラマの魅力。おもしろいけれど哀愁がちりばめられている。
女の哀愁という魅力では"桜木紫乃"の小説も負けてはいない。以前読んだ長編小説「ラブレス」も素晴らしい物語だった。この著者の描く舞台は体底北海道の道東。極寒の地方で繰り広げられる女の哀しみ。表現形はちょっと違うけど、「あまちゃん」に通じるところもあるような。作者はあの"ゴールデンボンバー"の熱烈なファンらしい。そんな笑いのセンスも似ているような。
その桜木紫乃の短編集「**ホテルローヤル""」を読んだ。今回も北海道の道東での物語。何と舞台はラブホテル。著者の実家も同名のラブホテルを北海道で経営していてその仕事を手伝ったりもしていたらしい。
短編集の1つ1つが物語の上で少しずつ繋がっている。読み進めていくうちにそんな繋がりを発見するのがなんとも心地よい。"ラブレス"みたいに涙を流すほどに感動するわけではないけれど、心がしとやかになるというか、しっとりとなれるようなそんな小説だった。
そいてやっぱり僕はこの作家が好きだ。
via PressSync