FakePlasticTree

ひびのいろいろ

漂流教室

楳図かずお氏と言えば「まことちゃん」。子どもの時に街の床屋の待合でボロボロになった「まことちゃん」を必死になって読んでいた。ギャグ漫画なのに目が笑っていない登場人物たち(という印象を僕はもった)。どこか狂気を感じさせる漫画だった。

漂流教室は同氏のSF超大作。この漫画を楳図氏のナンバーワン作品として認識する人もいるだろう。映画化もされた。その主題歌が伸びやかで素晴らしかった。誰が唄っているのかは忘れたが。そしてこの漫画(作品)で描かれるのは狂気と恐怖。

ある日忽然と学校が消えてなくなる。学校ごと何千年か先の地球に移動してしまう。食料も水もない場所での子どもだけの生活。いつも優しかった給食のおじさんが凶暴化したり、先生が子どもを殺したりする。子どもの中でも派閥争いが起きたり、謎の生物(未来人間?)が突然と出現したり。終盤では虫垂炎となった同級生をカッターで手術する場面なんかも出てくる。執刀医は何故か医者の息子。それだけで手術をやらされる。ほぼ無麻酔で行いその手術も何故か成功してしまう。

個人の狂気。集団の狂気。母の狂気。とにもかくにも狂気だらけ。小学校低学年の子どもが読むと、トラウマ体験として刻み混まれそうな内容のエピソードばかり

Kindleで全6巻で描かれるこの作品の結末が唯一の救い。 お盆休みに読むには丁度良い漫画かもしれない。