1つの大作が終了を迎えた。【Sunny】
水彩画のように淡い。ゆっくりと流れる時間。その時間の中に埋め尽くされる情感。
この漫画の雰囲気を自分の拙い言葉で表現するとしたらこんな感じになるんだろう。
優れた作品はジャンルを超越するとは言うけれど正に本作はそんなところだろう。漫画というよりも文学作品。文学作品の中でも詩に近いのではないだろうか。
章ごとにタイトルが1つ1つ付けられているのだけれどこれがまた趣深い。それ自体で立派な詩の作品になるぐらい。
そしてこの淡い世界感は作者の画力があってこそ。とてつもなく悲しくて切ない物語だがドラマティックではない。哀しくは有りながら全体の世界感はどこか暖かい。おそらく映像化では絶対に表現出来ない世界感。
児童擁護施設での子ども達という繊細なテーマでありながらそれを見事に描ききっている。
松本大洋という偉大なアーティスストの本作は最高傑作なのではないかと強く感じた本作であった。
