FakePlasticTree

ひびのいろいろ

BlueGiant !

少年漫画は昔から数多く読んできた。友達の家で、勉強をするふりをしながら、トイレの中で、そして日曜日のいる下がりなどなど数多くの場所と時間で名作を読破してきた。ネットなど存在しなかったから他に暇を潰す時間がなかった。ファミリーコンピューターも自宅にはなかったのだ。

晴れた日であれば外で遊べたが、天気の悪い日なんかは漫画を読んだり書くぐらいしか僕には娯楽がなかった。

読んだ種類は幅広く、ドラえもんキテレツ大百科、おばけのキュー太郎から始まりドラゴンボール、タッチ、ろくでなしブルースなどなど。あげれば全くきりがない。中野ブロードウェイが自転車でいけるような距離にあり、そこで古い漫画を立ち読みしたりしていた。今より世界は立ち読みにずっと寛容だった。

そんな自堕落な生活を送っていた割に自分は根性物の漫画が好きだった。特に野球漫画。詳述すると「キャプテン」と「プレイボール」がお気に入りだった。

登場人物は特別かっこよくもないし、ドラゴンボールの悟空のような超人的な力もない。サイヤ人に変身することもない。突然ドラえもんが夢のような道具を出してくれる訳でもない。    登場人物はただひたすらに朴訥と努力を重ねる。固執傾向があるんじゃないか?と疑うほどに練習を繰り返す。そして、弱小野球チームが徐々に強くなってゆく。そんな物語が「キャプテン」と「プレイボール」だ。この物語の醍醐味は弱者が強者を追い詰めるところ。強豪野球チームの焦りを堪能するところにあった。そういった場面ではまるで水戸黄門の最後の場面を見るような爽快感があった。

同じような漫画を最近発掘。野球とは全然違って物語はJAZZの世界。無名な音楽プレイヤーが努力を重ねる物語だ。名もないプレイヤーである「大」が周囲をあっと言わせる場面がなんとも爽快で気持ちよい。それは前述した物語の面白さにも通じるものがある。

加えて「大」は愚直で気持ちの良い男。いかにも日本人が好きそうなタイプ。当然漫画は大ヒットしている。

各巻の最後に各登場人物が その当時の出来事や「大」 を振り返る展開になっている。それがなんともまた良い味を出している。

友人に激烈に薦められて購入した漫画だったが、読んで大正解だった。