FakePlasticTree

ひびのいろいろ

踏切

この世で「イライラするもの」ベスト3を挙げろと言われたら、東京の私鉄の踏切がその何処かに入るかもしれない。僕が少年期に住んでいた小田急線沿線は特に酷く、踏切のせいで学校に遅刻してしまうことがあったように思う。それはほとんど言い訳に近いものかもしれないけれど。

当時は暇をつぶせるスマートフォンもなかったし、ひたすら何時上がるか分からない踏切を地団駄を踏みながら待つしかなかった。両方向から来る電車が通り過ぎ、やっと渡れると安堵すると、トラップのようにまた赤い方向機のランプがともる。その瞬間の落胆感といったらとてつもない。そんな踏切が都内に両手では数え切れないぐらいの数があった。

最近はかなりそんな踏切が減って都内の地下鉄の地下化が進んでいる。特に前述した小田急線はすっかり昭和と様変わりした。僕が少年期を過ごした世田谷の辺りは電車から見る景色が激減。僕が少年の頃に車窓から見た景色はもう二度と見れないものとなった。踏切の問題は大分解決されたのだろうけれど、それはそれで結構寂しい。こう考えると人間って本当に自分勝手だなあと我ながら実感する。

そして僕が現在住んでいる地域でも駅の地下化が進んでいる。これで踏切の問題は大分改善されるんだろう。イライラすることも少なくなるはずだ。しかし朝陽を浴びながら過ごす通勤電車の清々しさ、夜に窓の外の街灯を「ぼー」っと眺めることなど諸々のことは全てできなくなっちゃうんだな。