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ひびのいろいろ

【書評】「関係性の貧困」に生きる少女たち

恥ずかしながら自分はメイド喫茶という存在は知っていたものの、女子高生とお散歩をするJKお散歩というものがあることは知らなかった。

 時間でお金を払い女子高生と散歩をしたり、食事をしたりするらしい。なんだかそれを聞いただけでとっても怪しい仕事だと考えるのが大人。

 しかしそこまで考えない女子高生も多いらしい。ストーカー被害やより進んだ性産業への入り口にしか見えないのだけれど。

そして女子高生と食事をしたりして何が楽しいんだ??と、考えるけれどそういう人もいるんだろう。

そういう世界に踏み込んだ作者の渾身のノンフィクションが本書。実際にその場所で働いている女子高生たちに丁寧にインタビューしている。

インタビューを受けている女子高生たちの言葉を読んで分かるのはやっぱり子どもであるということ。そして(全てではないが)経済的な貧困と作者が述べる関係性の貧困の中にいるということ。

「取材 」として依頼し 、話を聞いているにもかかわらず 、この先私はほぼすべての少女に 「お姉ちゃんみたい 」と言われ続けることになった 。そう思ってもらえるのは嬉しいが 、その度に彼女たちが 「関係性の貧困 」の中にいることを痛感させられた 。

こういう少女たちが本当に上手に裏社会の大人たちに搾取されてしまっている。裏社会の大人たちに搾取される前になんとか表社会のセーフティーネットが働かなければならないんだろう。

しかしそういった公的の機関を子どもたちが頼ることはほとんどない。なんだか偉そうな大人に説教をされたり怒られるのではないかといった厭な感じをそういった機関に持っているのかもしれない。

自立することは孤立することではないと、私たちは人生の後輩である子どもたちに伝えなければならない。

作者がこのように述べた言葉が重くのしかかる。

そして今まで読んだ上記の本と今回の書籍の共通点は多い。今の立場の自分に何ができるかもう一度冷静に考えてみよう。

via PressSync