【書評】再貧困女子
「出会い系のシングルマザーたち」という書籍はそれは衝撃的だった。出会い系サイトで食いつなぐ女性のインタビューで構成された書籍。
出会い系に単独で登録するシングルマザー生活が以下に過酷で劣悪な環境下におかれているかを描き、その理由として
こうして可能性がひとつひとつ潰されていった後で、最後に残る1枚の花弁がある。その「最後の1枚があるか、もともとないか」が、最終的に彼女らが売春にまで至るか至らないかの、問答無用のボーダーラインなのだと。その最後の花弁とは、「帰れる実家、頼れる親・家族」だった。 (P66)
と指摘していた。この作家の一連のテーマである貧困女性の性産業を描いたノンフィクションの最新作が「再貧困女子」。
基本的に前著の「出会い系のシングルマザーたち」と同じような構成。しかし著者の考察と今後への提案は一歩進んでいる。性産業の底辺に位置する少女たちには三つの障害と三つの無縁が関与するとしている。
三つの障害とは 「精神障害・発達障害・知的障害」 三つの無縁とは「家族の無縁・地域の無縁・制度の無縁」
そしてそのような少女たちは
障害という言葉がよろしくないなら、こう言い換えよう。彼女らは本当に、救いがないほどに、面倒くさくて可愛らしくないのだ。 (P132)
と言い換えている。現実の実態を読めば読み進めるほどに鬱々とした気分になってくるのは前著と同じ。しかしこのような現実は今の日本にしっかりとあって、そのような現実から始めていかないといけないのも事実。自分にもきっと何かできるはず。というかこの現実へ立ち向かう当事者の1人としてしっかりと働いていかないといけないのだと思う。