優しい音楽_ジェームスイハ「Look to the sky」

大学時代に僕は親友と呼べるような友だちがいた。

　その頃は凄く田舎の大学だつたせいもあって娯楽などは音楽くらいしかなくてバイトでちょっとお金が余ると近所のCDショップに行き好きな音楽を買うのが習慣になっていた。大学入学当初､高校から浪人生にかけて音楽が大好きで､特定の分野の知識に関してはちょっと自信があった。

　しかし上には上がいるもので､僕より遥かに知識がある人がいたのだ。北の国からやってきたその友人は僕に色々な音楽を教えてくれた。バンドも一緒にやって､色々悲惨な目にもにあったしバカ騒ぎもした。東京に一緒にライブを観に行ったりもした。僕はあまり行動力がないのでほとんどそいつの言いなりになって知らないバンドのライブも連れてかれたろ。

スマパンとの出会い

　その友に無理矢理行かされたライブの1つに「スマパン」のライブがある。スマパンはその当時から知ってはいたけれどあまり積極的に聞こうとはしていなかった。自分とって取っつきにくいイメージがあったのだ。しかしそのライブにいってそんな想いは180度変わった。衝撃的なライブだった。

　場所は武道館

　その当時のアルバムは「アドア」というアルバム。スマパンのアルバムの中ではあまり評判の良くなかった（特に専門家の間で）アルバムだ。しかしその優しさにほんのりジワジワ溶け込む音楽が､ライブで一層増幅されて初めてライブ会場で僕は涙を流してしまった。人に温かい音楽とはこういう音楽のことをいうのだろう。全体的に地味でくらめな曲が多いのだけれどとにかく心がどうしようもなく癒やされる。