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ひびのいろいろ

今年の読書の1冊目 「自虐の詩」

自虐の詩 (上) (竹書房文庫ギャグ・ザ・ベスト)

新年初めて読んだ本(漫画)は、かの名作「自虐の詩」

「自虐の詩」といえば

「自虐の詩」は映画しか観たことがなかった。中谷美紀さんを中心として、西田敏行、カルーセル麻紀、 阿部寛の演技が素晴らしい映画だった。

 そして予想外の展開と話の奥深さ、含蓄の深さに唸りまくり、映画って良いなあという想いに浸れた作品だった。

原作があるということは知ってはいたけれども中々読む機会がなかったので今回正月休みを利用して非古本屋にて購入、早速読んで見た。

アル中でギャンブル好きで、妻に暴力を振るう無職の男

 ストーリーは当たり前だが、映画とほぼ同じような進行。原作は基本は四コマ漫画で序盤はアル中でギャンブル好きで、妻に暴力を振るう無職の男が、自宅のちゃぶ台をひたすらひっくり返すだけの話が永遠と続いてゆく。

 しかしこの漫画は序盤で読むのを諦めてはいけない。そういう意味では浅野にいおの「おざなり君」に通ずる所があるかも知れない。特に序盤のつまらなさという意味では共通している部分は多いw

 「自虐の詩」は物語の後半3/4から感動度合いが指数関数的に一気にアップする。主人公の幸子(幸せという字だけれど、その人生ほ幸せとはほど遠い)の半生が、少しずつそして後半一気に明かになってゆく。そして読後はなんとも言えない感覚。その展開は素晴らしいの一言。

 前半のつまらなさ、いや「溜め」みたいなものか? は全てこの後半3/4のためだけにあると言って良い、素晴らしい演出。ストーリーは大体知っていたのに改めて感動してしまった。それだけ物語が素晴らしいということなんだろう。

新年の読書一冊目から良いものを見させてもらった。

今年は何冊本が読めるかわからないけれど、そして人生であと何冊本が読めるか分からないけれど少しでもこういう素晴らしい作品に出会えるといいな。