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ひびのいろいろ

【映画】友だちやめた

例年だったら連休があれば、その1日は街の小さな映画館に1人でいって、ドキュメンタリー映画を1つ見てくるのが自分のひそかな楽しみだった。しかし今年はそうもいかず。コロナ禍の中 東京の映画館に行くにはまだまだ勇気がいる。 しかし時代は進んでいるもんだ。オンラインで最新の映画を見ることができるらしい

studioaya-movie.com

というわけでこの映画を見た。耳が聞こえない映画監督(今村彩子監督)自閉症スペクトラム障害抑うつを合併した女性の2人の関係を描くドキュメンタリー。登場人物の1人である自閉症スペクトラム障害の特性をもつ「まあちゃん」は聴覚過敏があり、それが理由で手話での会話を主なコミュニケーション手段としている。手話は直接的な表現手段であるので自閉症スペクトラム障害の人々にとって相性が良いのだろう。そして実際に手話を達人なみに「まあちゃん」は使いこなしている。

まあちゃんは今村彩子監督の仕事を手伝ったり、2人で台湾や温泉旅行に行ったりするほど仲が良い。しかし付き合いが長くなるにつれて徐々に2人の関係に微妙な変化が起きてゆく。

自閉症スペクトラム障害の特性でコミュニケーションの障害があるとは分かっていても、自分の気持ち(感情)がついていかないことはもちろん医療現場でだってある。人を1人の人間として見ようと思えば思うほど何か自分の中で何を価値判断の基準にするか迷ってしまうことだって少なくない。自分の場合はそんな悩みを分かち合える仲間がいる。実際に1人の力ではどうにもならないことが多い。

それを監督は1人で誠実に向き合っていた。とても真面目で誠実な人なんだろう。それが伝わってくる良い映画だった。 こんな風に良質なドキュメンタリーが自宅で見ることができる時代になったとは。なんと幸せなことだろう。