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ひびのいろいろ

【書評】刻刻

物語を作者の意図通り納得の出来る形で完結できるのは漫画の場合難しい。人気が出るほどにその連載は延長されていき、終了するのが難しくなってゆく。1980年代のジャンプに連載されていた数々の漫画などはその端的な例だと思う。

もっと話を切り詰めて完結まで作者の意図通りにしてあげることが一番良いのは分かっているのに雑誌の売り上げの都合上ダラダラと続く作品が多かった。さぞかし悔しい想いをした作家も多かったろうにと思う。

かなりの巨匠(手塚治虫氏など)ならともかく、普通の作家が自分の思うような作品を書くことができないのは漫画だけに限らず、音楽とか他の世界にも多く当てはまるのだろう。

近年稀にみるSFサスペンスホラーの大傑作。

刻刻という漫画は止界術という時を止める術をもつ家族をとりまく物語。第一巻からその緊張感は絶品で先が読めず飽きさせない。この作品を映画にしたらきっと大傑作になるのではないかと思えるほどストーリー自体も良くできている。

なにしろ中だるみ、妙にストーリーを先延ばしにするようなことは一切ない。そして程良い加減、つまり8巻で作品が終了する。その具合が丁度良い素晴らしい作品。AmazonのReviewなどで触れられていたけれど、「寄生獣」などにも匹敵する作品だ。

この漫画はきっと後世に残るものになるんだろう。SF小説とか好きな人々には是非お勧めしたい。