FakePlasticTree

ひびのいろいろ

禿げたインコ

子どもがいると自宅の中に生き物が増える。

特に就学前から低学年の子どもがいるとその傾向は顕著だ。子どもが食べ物を食い散らかすので家にゴキちゃんと遭遇する回数も格段に増える。よっぽど潔癖症じゃないかぎり子どもが散らかす度に完全に部屋を綺麗にすることなんてできない。

そんなことしていたら自分の気持ちがまいってしまう。まあ、子どもがいなくても部屋は汚かったかも。世の中はエントロピー増大の法則というものがある。自然にまかせておけば無秩序な方向に向かうのだ。それにはむかったってしょうがない(エントロピーの法則の言葉の使い方は間違っているかもしれないけど)。そんな屁理屈を子どもの頃に言っていたら、こっぴどく怒られたっけ。

まあそんなことはどうでもいいけど、自宅には今インコがいる。去年の夏ぐらいにやってきた。『慣れれば人間の言葉を喋るようになるからさ』・ と怪しい中年のおっちゃんにそそのかされて我が家にやってきた。子ども達は大喜びだった。

しかし僕は最悪だ。何しろ部屋の汚し方が凄い。羽をバタバタとするもんだから、鳥かごの隙間から絶えず餌の残骸が飛び散ってくる。しかも時々自宅内で放し飼いにするのだが、これもまた迷惑。迷惑というか怖い。凄く怖い。頭上を鳥が飛び交うのだ。いつウンコをされるかヒヤヒヤ。たまったもんじゃない。その上泣き声が五月蠅くとっても迷惑。そして言葉なんか全く一向に喋る気配がない。子ども達が勝手に名前を付けたけれど、そんな訳で自分はその名前さえ全く覚えてない。

そんなインコの頭が禿げてきた。毛が抜けてきた。よく見なきゃ分からないけれどやっぱり禿げている。加齢なのか、病気なのかわからない。しかしそのみすぼらしい姿に妙に愛着が沸いてくる。きっとその姿に自分を重ね合わせているんだろう。そういえば仕事から帰ってきて缶ビールを部屋で飲むとき、インコが時々叫ぶ。とうか鳴く。きっと俺のこと仲間だと思っているのかな。返事はしないけどね。

まあ冴えない中年同志、一緒に頑張ってゆけるといいですな。