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ひびのいろいろ

【書評】今更ながらとんび

『箒川を渡って』はあの重松清氏の名作『とんび』をNHKがドラマ化した時の主題歌となった曲。このドラマにより僕は”踊ろうマチルダ”という芸術家を知りそして虜になった。日本語の美しい力、男の哀しさを切実に直情的に素晴らしい曲だ。

そしてこのドラマの題材となった『とんび』という小説は父親の切なさ愛と大きさ幸せをこれでもかというぐらいに唄った絶品の文学小説。特に幼少時の『アキラ』を励ます和尚の以下の言葉は僕の大好きな台詞であり小説の一場面だ。

『アキラ、おまえはお母ちゃんがおらん。ほいでも、背中が寒うてかなわんときは、こげんして、みんなで温めてやる。おまえが風邪をひかんように、みんなで、背中を温めちゃる。ずうっと、ずうっと、そうしちゃるよ。ええか、『さびしい』いう言葉はじゃの、『寒しい』から来た言葉じゃ。『さむしい』が『さびしい』『さみしい』に変わっていったんじゃ。じゃけん、背中が寒うないおまえは、さびしゅうない。のう、おまえにはお母ちゃんがおらん代わりに、背中を温めてくれる者がぎょうさんおるんじゃ、それを忘れるなや、のう、アキラ』

なにせこの小説はあの堀江貴文氏も大号泣させたという。堀江氏はそんなに文学作品を読まない(といっても普通の人以上に読んでいるんだろう)と言っていた記憶があるので,この作品の破壊力はそれだけ凄まじいのだと思う。

重松清氏はこれ以外にも珠玉の名作を色々執筆している。今日はそんな作品のひとつで最近読んだ小説『かあちゃん』についてブログに書こうかなと考えていたのだれど,ちょっと力尽きた。その話は次回に書くことにしよう。