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ひびのいろいろ

政治家はやっぱり面白い【書評】私を通り過ぎた政治家たち

政治っていうのは本当に見ていて面白い。そこには人間の様々な生き様。汚いところを含めた人間の生き様が現れているからだろう。 人の常認欲求を格別に満たすものに政治という仕事があるのだろう。だから一旦政治家となると中々歳をとっても辞める人がいないし、その魔力に取り憑かれる人は多い。

学級委員でさえやったことのない自分はそんな世界は一切無縁だ。今後も政治的な役職につくことは一切ないだろう。管理職だった無理だと思う。そんな自分でも政治を外側から見るとやっぱり面白い。そして今回僕は久しぶりに政治家の本を読み、その思いを新たにした。その書籍とは以下。

私を通りすぎた政治家たち
佐々 淳行
文藝春秋 ( 2014-08-28 )
ISBN: 9784163901138

本書は政治家を以下のように2つのタイプに定義することから話がはじまっている。

私の定義する政治家、ステーツマンとは、権力に付随する責任を自覚している人。権力に付随する利益や享楽を追い求めてしまう人は政治屋、ポリティシャンと呼ぶことにしている。 (P56)

そして実際の政治家について、誰がステーツマンであるか、誰かポリティシャンであるかを筆者の立場から論じている。テレビを中心としたマスコミから受ける人物像と著者の政治家に対しての解釈が微妙にことなっているのが何とも面白い。そしてこれぞという人物に対しては徹底的に叩いている。

それは「ここまで叩いていて大丈夫なんだろうか?」と読んでいる側が焦ってしまう程にその言葉は辛辣だ。

やっぱり憎めない存在のあの人

この書籍には昭和の時代を中心とした様々な政治家が出てくる。その中でも憎めない人物がハマコーこと浜田幸一氏だ。

それは

毎朝、登庁してくると必ず門衛のところで車を降りて、立番している自衛官に敬礼してから庁舎に入るのが浜田氏の習慣だ

という仕草だったり

強面で、ときに傲岸不遜な武闘派に見える浜田氏は、若いころにヤクザだったことを否定しなかった。その上で「だからといって私の存在を否定したり、再びチャレンジできないような社会をつくってはいけない」と語る、憎めない政治家だった。

という作者の評価から伺いしれる。裏表がなくて、テレビのイメージそのままの人という印象だ。政治家の能力は別にして人間的な魅力に溢れた人なんだろう。

とにかく並の週刊誌よりもずっと面白いこの本。お勧めです。