FakePlasticTree

ひびのいろいろ

憂鬱 

あんまり政治的な話は得意ではない。そして意識的にそういう話は公開しないようにしてきた。しかし最近妙な胸騒ぎがしてたまらない。きっかけは東京都の都知事選からだった。なんとも薄っぺらく自己愛的な人物だなあと思った。そして自分の感覚とは随分と乖離してその人物が都知事となり、都議選も圧勝のうちに終わった。暗澹たる気分になったのを覚えている。

自身の感覚が世間一般とかけ離れているのだなと思った。しかしその後の経過を見る限り、自分の感覚がそれほど誤っていないことにも気が付いた。「この人には税金を使われたくない」と心底実感できた初めての人物だ。それはやはり、大義がなくエネルギーが自己に向いているからだろうと思う。

そんなそぶりを少しでも感じると、ちょっとどうにも止まらない嫌悪感が自分の中に生まれてきてしまう。仕事では気にならないが、私生活では別だ。許せない。

そして今回の衆議院選挙だ。そのどす黒い、利己的なエネルギーが充満している。ファシズムに行く流れとはこういうものなんだろう。感情で政治が動く。「なんとなく嫌い」「生理的に受け付けない」というエネルギーだけで意思が動く。

劇画ヒットラー (ちくま文庫)

劇画ヒットラー (ちくま文庫)

今回だけは(今までも行っていたけれど)選挙に行こう。自分の意思をはっきりと示そう。

仕事で一杯一杯の毎日だけれど、この流れだけは止めたいと考えた。

GLIM SPANKY

またちょっと日本で好きなバンドを見つけた。もう既に有名な人たちなんだろう。深夜、仕事が一段落し脱力してソファに体を埋めていた。こういう時は何も考えられず、というか考えたくなくてぼんやりしている。条件反射的にテレビのリモコンのスイッチを入れた。

褒めろよ

褒めろよ

  • GLIM SPANKY
  • ロック
  • ¥400

その時にこの人の歌声と遭遇した。ボンヤリとした頭は一気に覚めて何だか衝撃を受けた。心にそのまま入ってくる歌声。暴力的でありながら優しく繊細で心地よい。

男性ではこういった性質の声はいくつかある。「踊ろうマチルダ」だったり「竹原ピストル」だったり「エレファントカシマシ」だったりする。しかし女性では珍しい。T字路s は近いかも知れない。一般ウケする、聞きやすいという意味では軍配はこちらに上がる。

とにかくカッコイイ。日本語の歌詞もセンスが良い。ディストーションが程よく効いたギターも心地よい。日本の音楽は数十年前と比較して随分と良くなっている。そんなことを実感した人たちだった。

夏休み

今年の夏休みは味気なかった。ほとんど仕事。その合間に訪れたポケモンGoのイベントが唯一の楽しみだったかもしれない。しかしあいにくその日も雨。小雨かと思ったら酷く土砂降りになって参った。

合間に入った中華街のお店。流行の観光客向けの店ではないが、ここの「えびわんたん」が安くて美味しい。600円という安さにもびっくり。

漂流教室

楳図かずお氏と言えば「まことちゃん」。子どもの時に街の床屋の待合でボロボロになった「まことちゃん」を必死になって読んでいた。ギャグ漫画なのに目が笑っていない登場人物たち(という印象を僕はもった)。どこか狂気を感じさせる漫画だった。

漂流教室は同氏のSF超大作。この漫画を楳図氏のナンバーワン作品として認識する人もいるだろう。映画化もされた。その主題歌が伸びやかで素晴らしかった。誰が唄っているのかは忘れたが。そしてこの漫画(作品)で描かれるのは狂気と恐怖。

ある日忽然と学校が消えてなくなる。学校ごと何千年か先の地球に移動してしまう。食料も水もない場所での子どもだけの生活。いつも優しかった給食のおじさんが凶暴化したり、先生が子どもを殺したりする。子どもの中でも派閥争いが起きたり、謎の生物(未来人間?)が突然と出現したり。終盤では虫垂炎となった同級生をカッターで手術する場面なんかも出てくる。執刀医は何故か医者の息子。それだけで手術をやらされる。ほぼ無麻酔で行いその手術も何故か成功してしまう。

個人の狂気。集団の狂気。母の狂気。とにもかくにも狂気だらけ。小学校低学年の子どもが読むと、トラウマ体験として刻み混まれそうな内容のエピソードばかり

Kindleで全6巻で描かれるこの作品の結末が唯一の救い。 お盆休みに読むには丁度良い漫画かもしれない。

【書評】メンタライゼーションでガイドする外傷的育ちの克服

メンタライゼーションは確か昔にちょっとだけ勉強したことがあった。一時期日本でもブームであったからだ。丁度十年ぐらい前だったかな。

その基本的理念は本書に書いてある。

メンタライゼーションmentalizationとは,「自己・他者の言動・行為を,心理状態(欲求・感情・信念)に基づいた意味のあるものとして理解すること」を意味し,メンタライズするmentalizeという動詞形で使われます(第3章参照)

言われてみると「ふーん、なるほどー」と言う定義なのだけれどいまいちこれがどういうことであるのか腑に落ちるまでにはその当時は至らなかった。何だか曖昧なままで終わってしまったのだ。

勉強するときに読んだ訳本が至極難しかったからかも知れない。ほとんど理解できなかった。

しかし本書はわかりやすい。日本語の平易な文章で具体例(臨床例)を交えて書いている。訳本出ないのも良い。無理矢理英語を日本語にした難解さがない。冒頭部分の例え(「ヒデヨリくん」と「ノブナガくん」の例え)がこれまた素晴らしい。

素晴らしい本というのはその後の読書の幅が広がってゆくものだけれど、本書もそうなりそう。前回の反省を生かし今度は原著にチャレンジしてみよう。とりあえずKindleで2冊ゲット。結構な金額だったので少し気合いを入れて勉強してみよう

ジュネーブへ

丁度数週前に仕事で行ったのはスイスのジュネーブだった。国外へ仕事で行くのは台湾に続いて2年ぶりのこと。 丸半日飛行機で移動するのは大変疲れたが、その間にずっと書籍の奧で埃を被っていた本を読破できたのは随分とすっきりした。爽快感が強まった。

読了した書籍はこちら。おそろしく分厚い書籍だった。精神療法のスーパービジョン制度の問題点を記した著。今まで朧気ながらぼんやり考えていたことが見事に言語化されていた。言葉はかなり難解で読み進めるのに骨が折れたけれど、読んで良かったと思えるものだった。しかしもう1回読む気にはならないなあ^_^;

しかしあとがきに記してあった以下の一文は至極納得が出来るものだった。覚えておこう。

タフでなければセラピーを行うことはできない しかし傷つきやすいがなければセラピーを行う資格はない。人がもつ傷つきやすさを守ることがスーパーヴァイザーの仕事であり、セラピストの仕事でもあるということを本書はきっと教えてくれるだろう。 (P417)

ようやくついたGenevaはレマン湖に佇む、それは美しい街だった。鉄道の駅周辺部はちょっとゴチャゴチャしていたが、旧市街は歩くだけで楽しかった。そして街中にゴミがあまり落ちていなかった。カラスを街中で見なかったのはそんな理由もあるのかもしれない。

食事も美味しかったが、なにせ物価が高い。マクドナルドに行っても軽く1000円は超えてしまう。スイスの平均年収を調べたら日本の2倍ぐらいあった。それぐらいあったらまあ生活できるか。

仕事の合間に教会で1時間ぐらいボーッとしていた。神聖な場所はやはり心が安まる。僕は神社で周囲の音に耳を傾けながら歩くのも好きだ。 そして、今後の仕事の方向性について色々考えてまとまったような気もした。

名古屋

何週間か前に仕事で名古屋にいった。今年になって確か2回目の名古屋だ。東京を除けば、名古屋は非常に活気がある。街中を歩いているととにかく人が多い。そして個人商店がシャッターを下ろしていない。

加えて食事が安くて美味しい。

決して上品な料理ではないけれど、安くて個性的なものが食べられるので嬉しくなってしまう。