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ひびのいろいろ

自殺で遺された人たちのサポートガイド―苦しみを分かち合う癒やしの方法―

自殺で遺された人たちのサポートガイド―苦しみを分かち合う癒やしの方法―

自殺で遺された人たちのサポートガイド―苦しみを分かち合う癒やしの方法―

1日で読み切った。重い話題の書籍などで途中で息つく暇もなかったというのが本音だった。身近な人が自死するというのはその辛さがとても想像できないほどに過酷な事象だろう。でも、それは稀なことでではない。日本では減少傾向にあるとはいえ、毎年1万人をゆうに超える人々が自ら命を断っている。ということはその周囲にいる関係者も数万単位で存在するということだ。

それは保護者だったり兄弟だったり、子どもだったり配偶者だったりするのだろう。本書はタイトル通り自殺で遺された人々に向けて描かれた書籍だ。

具体的な事例が膨大にわかりやすく書かれていることで、「あなたはひとりではありません」というおそらく本書で作者が一番言いたいことが嫌でも伝わってくるように思われる。そして遺された人々がどんな感情が出てもそれは不思議なことではない、ということも大きな助けになると思う。サポートグループの存在とその重要性についても、知らない人は知らないだろう。とにかく孤立しがちな人々にとって望みの1つとなるような本だと思う。こういう書籍を日本語化してくれた人々には本当に感謝したい。

第九章の「親を自殺で喪った時」は子どもの臨床を私はしているので大変ためになった。特に幼い子どもにどう伝えるか?という点から参考にすべきことが多かった。

また最終章の回復に向けての言葉も具体的かつ実践的で良い。それは以下のようなものである。

  • 何故だったかは決して分からないでしょう
  • 悲しむことと愛することは違います
  • 紙に書いてみましょう
  • 本を読むこと
  • 他者を手助けする-あなたの学びを活かすこと
  • 故人を記念するもの

巻末には推薦図書や自死遺族を支援するサポートグループの紹介もある。こういう所に優しさというか良心を感じる。とにかく自分が今の仕事をやっていく上で回避できない問題だけにこれからも勉強は続けていかなければならないなと改めて思った9月の連休であった。