FakePlasticTree

ひびのいろいろ

連休の初日に良い本に再度出会うことができた

5年程前から読了した書籍の気になるポイントを書き写してEvernoteにすべてストックしている。そして毎週土曜日か日曜日にそのストックしたものの中から,10個ぐらいをぼけっとしながら読み返している。これが結構ためになるというか面白い。自分の中でふと忘れていたものが生き生きと蘇ってくる。

昔に決意した様々な考え、忘れがちな感情、想い。そんなものが静かに蘇る瞬間というものはなんとも気持ちが良いものだ。

そんな習慣の中で久々に巡り会えた本。この書籍の著者である神谷 美恵子氏は父が文部大臣という超エリートの家系でありながら,障害をハンセン氏病患者の療養に障害を捧げた精神科医だ。すでに故人であるが,いくつかの名著を残していて,本書もその1冊。

他人に対して優しく自己に対して厳しい。「自分の身の回りに起きたことは全て自分の責任として考える」他責的にならない人物が僕の理想なのだが,まさにそんな人物。

精神医学はまだ若い学問であるし、人生はこれを大きくはみ出している。学問的にたちうちできない多くのことについては、ただひとりの人間として、まったく素手で考え、探りもとめるしかない (P8)

こんな言葉1つが自分の仕事に対する姿勢を強烈に正してくれる。連休の初日に本当に良い本に再び巡り会えたものだ。この書籍の中で引用されている”ボリス・レオニードヴィチ・パステルナーク"の詩も心にガツンと残る。また忘れないように残しておこう。

有名になることは醜いことだ これは人間を高めはしない 文章にしておく必要はなく 草稿のままで惜しむがよい

創造の目的は献身にあり 評判でもなく 成功でもない ついうかうかと みんなの口に のぼるのは恥ずかしいことだ

そうだ偽りの名声に生きてはならぬ つづまりは このように生きることだ 宇宙の愛を自分にひきつけ 未来の叫び声に耳を澄ますのだ

他の人々は生きた足跡をたどって 一歩一歩 おまえの道をくるだろう けれど 敗北と 勝利とを おまえ自身が区別してはならぬ

B・パステルナーグ 稲田定雄訳 (P81)