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ひびのいろいろ

【書評】 レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ

連合赤軍を描いた山本直樹氏の漫画『レッド』が題名を変えて新たなシリーズとして刷新された。その名も「レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ」。物語の登場人物には番号が振られ,それはそのまま惨殺される順番ともなっている。

総括というなのリンチ殺人 - FakePlasticTree

レッドも後半からリンチ殺人が開始されていた。しかし題名が変更になった本巻からはひたすらリンチのオンパレード。そこには政治理念や,理想なんてこれっぽっちもない。狂気の世界。人間が閉鎖された空間の中で集まりこれほどのことをやってしまうのかと考えると本当に背筋が凍るような思い。

そしてこれはなにも特別なことではないだろう。『狂気』という一言で片付ければ非常に簡単なことだ。しかしこのような性質は日本人の中に,そして人間の中にはいつも存在するものだとして認識しなければならない。集団が熱狂的に猛進している場合には絶えず気をつけなければならない。

この流れはオウム事件ISISへと繋がっていて,集団の狂気という意味では同じ部分も多いだろう。

残酷かつ暴力的で読んでいて少しウンザリするような気分になる漫画ではあるけれど,自分としては最後まで読み続けてゆきたい。