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ひびのいろいろ

【書評】日米戦争

超訳 小説日米戦争
佐藤 優
ケイアンドケイプレス ( 2013-09-26 )
ISBN: 9784906674534

時は1900年代末期。アメリカと日本が太平洋真珠湾で戦闘を開始する。大日本帝国海軍はアメリカ太平洋艦隊により殲滅。

そんなショッキングな展開から始まるフィクション。大正初期に書かれたこの空想小説を佐藤優か現代語訳し、第2部では解説するという二部構成になっている本書。

史実ではこの小説から数十年後には本当に日米

が戦うことになってしまう。この小説の展開では石仏博士という天才が突如として現れ、日本の危機を救うことになるのだが、その人物が登場するまでの展開はほとんど史実に近い。結局の所はそんな展開でしか日本の生き残る道はなかったのだ。ij

その石仏博士ぎ日本の民衆に送った檄文(獅子の咆哮のような)がまた心に染み入る。僕らもこの言葉を十分自分の中に止めておかないといけない。

そして第2部では佐藤優氏の解釈が続く。僕は前述した石仏博士とこの佐藤優氏が非常にダブる。どちらも知性に溢れていて、一見強面でしかし真髄。この佐藤優氏の解釈も非常に心をうつのだ。

現代は新帝国主義の時代である (P256)

繰り返すが、新帝国主義という弱肉強食の時代にあって、アメリカの影響下で生き延びざるを得ない我が日本国家が、何を守り抜き、何を目指すべきなのか、思想的確立を急がなければならない。反知性主義に対抗するべく、知的体力を付けなければならない。わが日本国家の命運はそこにかかっている。 (P282)

著者はイタズラな「反米主義」と「反知性主義」の危うさを佐藤優氏は強調している。日本の知性とは何だろう。というか日本という国の存在意義や役割はどこにあるんだろう。と色々想いが湧いてくるような本であった。、

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