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ひびのいろいろ

【書評】Sunny

児童養護施設を対象とした漫画の第四弾。

施設の空き地にもう壊れたポンコツの「日産サニー」が放置してある。その「Sunny」がこの漫画の題名。この、作品の暖かさも「Sunny」を連想させるような日当たりが良く穏やか。

しかしこの作品に、出てくる児童養護施設「星の子学園」の子どもたちはみなそれぞれに哀しさを併せ持っている。大人を求めながらも中々受け入れてもらえない哀しさ、切なさ。でも絶対に憎まず奥歯をじんわりと噛みしめるような強さ。子どもって色々言葉にはできないけれどでも心の中は色んな想いで溢れんばかり何だよな。

決して明るい漫画ではない。でもその情感がこもった絵柄とコマとコマの間合いにすっかり魅了されてその世界から抜け出せなくなる漫画。漫画でこんな気持ちになるのは初めてかも。日本の漫画の一つの頂点といっていいかも。

「松本大洋」という漫画家の最高傑作とも言われている「Sunny」。将来的に映像化されるんだろうけれどこの雰囲気を出すのはチョット難しいのではないだろうか。

Sunny 4 (IKKI COMIX)
松本 大洋
小学館 ( 2013-10-30 )
ISBN: 9784091886354

児童養護施設に関する書籍といえばこんな本もあったのだった。

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