【書評】全思考
出張明けの朝はちょっと寝坊する。身体がそれだけ疲れていることの証拠なんだろう。無理をしても物事を前に進めなければいけない状況なんだけど、身体がどうしてもついていかない。身体全体が怠いというか、きしんで中々快活に行動するということができない。
そんな日の夜はちょっとダラダラしながらビールを飲んだり、ソファにゴロゴロしたりするのもいいもんだ。残っている仕事はまだまだたくさんあるんだけれど、今焦ったってしょうがない。明日からやればいいや。
家に引き籠もって本でも読んでいよう。
そんな中、Kindleで読んだ北野武氏の本。
もう何十年も前から様々な分野で第一線で活躍している著者。しかし、本書を読むとちょっと歳をとったかなあという気がしないでもない。その思考というか、思想が今の団塊世代の人達にまだまだ受け入れられている部分なんだろう。つまり、懐古主義に少し傾倒しているのだ。”たけし”も人間であったのだなあ、という感じ。
それでもやっぱり、人間的魅力は絶大な訳で稀代のスーパーヒーローなことに代わりない。本書で語られる「綾小路きみまろ」とのエピソードなどなんとも言えず味わい深い。思春期の子どもに対しての考察であるも鋭く、以下のメッセージには思わずなるほどと頷いてしまう
思春期の子供を襲う死の恐怖は、独り立ちするための本能のスイッチなのかもしれないと思う。
ちょっとの出張で家でゴロゴロしている自分とは大違いだ。