僕の部屋の片隅にあるボロボロのギター
押し入れから出しっぱなしのギターが僕の部屋にはある。
大学時代6年間ずっと使ってきたESPのギター。オジーオズボーンの2代目ギタリスト、ジェイク・E・リーの愛用していた白いストラトキャスター。トレモロはついていなくてアーミングはできないけれどその分太い音が出る、超お気に入りのギター。
20年前、お茶の水の楽器屋を何回も往復しながら、ご飯を食パンと珈琲と砂糖だけにして数ヶ月バイトをしてやっと購入できたもの。その他にも色々なギターを買ったりもしたけれど人に譲ったり、売りに出しちゃったりした。でもこのギターだけは誰にもあげたり譲ったりすることができない。
自分の過去を全部否定してしまうような気がしてしまってできない。ボロボロで指板のとこなんてあちこちぶつけて凹みが沢山あるのだけどそれでもその傷のひとつひとつが愛おしい。
思えば高校生から大学にかけて僕はコンプレックスの塊だった。勉強がとりたててできるわけでもないし、運動にしたってそう。(若い頃は)やせっぽっちでひょろひょろで、体型もカッコ悪い。友だち付き合いもそれほど上手ではない。そんなやつだった。
そんな僕が生き残るには何かに頼らなければならなかった。全然上手ではなかったけれどギターに触っていればちょっと心が安心して癒やされるような気がした。それさえ弾いていれば何とか正気を保っていられるような気がしたんだ。夜中に寝る時も布団の中にギターを一緒に入れて寝た。
そんなお守りみたいなものが思春期の頃には必要なんだろう。それを探す手伝いをしてあげるのが自分の仕事の一部分なのかもしれない。
ふとボロボロになった部屋の片隅のギターを見ながら夜中にそんなことを考えていた。