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ひびのいろいろ

【書評】レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ(2)

レッドと言う漫画はもう購入して何年にもなる。連合赤軍による連続リンチ殺人事件を描いた漫画なのだがその内容はおよそ現実とは信じられないほど凄惨で読むのが苦痛になるほどのものだ。

この「レッド」の主題が変わり、最後の60日という題名がつくようになった。題名が変更してからの第2巻。ほとんど内容は前巻と変更点はない。話の流れが一緒。延々と仲間内での殺し合い。そして意味の全くない議論。議論の言葉の中で言葉遊びをしているに過ぎない。リンチする相手をひたすら選ぶためだけの議論。

これがフィクションであれば何とも嘘くさい、ただ残虐で凄惨なだけの物語になるのだろうが、この物語に書かれてあることは現実。確かに日本の70年代に生じたことなのだ。それを考えて読むと戦慄が走る。人間とはここまで意味のない存在なのだろうか?ここまで愚かになれるのだろうか?ということ

自らのアイデンティティーに不全感のある若者が如何に危ういかはこの物語を読めばきっとわかる。