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ひびのいろいろ

人間にとって最高の娯楽とは知的な生活をおくることなんだろうと考えた【書評】知的生活習慣

知的生活習慣 (ちくま新書)
外山 滋比古
筑摩書房 ( 2015-01-08 )
ISBN: 9784480068095

外山滋比古氏といえば知的生産をテーマにした書籍の大家。氏が執筆した「知的創造のヒント」や「思考の整理学」はあまりにも名著で現在でも十分通用する内容の本だ。外山氏は大正12年(1923年)生まれなのでもう90歳を超えている。ちょっとWikipediaを見てみたら2014年には10冊の書籍を執筆している。これはちょっと超人的に凄い。

本書は21個のテーマについて書かれたエッセイ。知的生活習慣というのが主に流れるそれぞれのテーマ。その中で個人的に一番印象に残ったのは「日記」についてのもの。僕も日記は長い間つけている。誰にも見せたことはないけれど、古くは高校時代のものが手元にある。しかも日記は不思議なものでほとんど見返したことはない。いや正確に言うと見返す気にはなれないものだ。

著者は日記の効用について以下のように記す。

日記は自分の人生を高めるためになると納得できる。日記をつけて、その日を忘れることができれば、はつらつたる明日を迎えることができる。それは毎日のことである。休んではいけない。REM睡眠に負けられない (P27)

そう、日記は知的生産における睡眠のようなものなのだ。今日一日あったことを忘れるために日記って書くのだ。自分自身に区切りをつけるためとも言い換えられるのかもしれない。

こんな新たな発見が随所に詰まっているのが本書の特徴だ。しかも文章は平易で中学生にだってきっとすんなりと頭に入ってくるだろう。

僕は人間にとって最高の娯楽、あそびとは「知的好奇心を満たすこと」であると考えている。どんなに年齢を経てもこの「知的好奇心」がどこかに残っていれば人生を楽しむことができる。そう確信している。それはこの著者の本書の生き生きとした文章を読めば分かる。

自分もこのぐらいの年齢になっても何かを生産し創造できる人物になっていたい。そう考えさせてくれる書籍であった。