FakePlasticTree

ひびのいろいろ

劇画を作った男である辰己ヨシヒロの自伝的映画 『TATSUMI マンガに革命を起こした男』 

劇画という漫画のジャンルを作った男の1人 辰巳ヨシヒロの自伝的アニメーション映画。久しぶりに良い映画を見た。

 

 

 

 

劇画漂流 上巻

劇画漂流 上巻

 

 

 

原作は劇画漂流という漫画で、何となく藤子不二雄の漫画道を思わせる。この映画は自伝だけでなく、その合間に5編の短編アニメが差し込まれる。昭和初期の時代に沿ったこの短編アニメは、原爆のカメラマン、赤線で働く女、工員が主人公の何とも味わい深い話。それぞれの短編は社会の底辺、世の中の闇を描く。決して明るくなくむしろ暗い。

 

同じ時代を描いた『三丁目の夕日 always』とかとは全く違う。しかし自分が思い描く昭和初期のイメージってこの映画のそれに近いかもしれない。モノクロームで屈辱的で悲哀がかって希望がない。

 

なのでこの映画は全く子ども向けではなく、一般向けでもない。性的な描写も多くそれもエロティックというよりかは酷く現実的で生々しい。

 

でもこの独特の絵柄と色彩が生み出す世界感は唯一無二の存在かも知れない。

好き嫌いがはっきり分かれそうな映画ではあるけれど、僕は大好きだ。