【書評】夢子ちゃん
今回よんだこの漫画、青野春秋氏の「夢子ちゃん」。青野氏といえば中年男の悲哀と笑い、そして優しさを描いた漫画「俺は、まだ本気出していないだけ」があまりにも有名な漫画家。映画化もされてすっかりと有名になった。
ダメな男、でもかっこいい男の哀愁を描くのが天才的。それがヘタウマとうより下手な雰囲気の絵柄とあいまってなんとも言えない世界観を醸し出す。
映画も実は見てしまった自分ではあるけれどやはりこの漫画の色彩が織りなす独特の雰囲気にはやっぱり勝てない。
そんな作者が女性、それも若い女性を主人公とした漫画を描くのが本作。名前は「夢子ちゃん」。人生で1番喋ったと本人が回想する小学校時代の友達に一目会うために状況する物語。「夢子ちゃん」は10年来の引きこもりで、睡眠も薬を服用しないとままならない。外に出る時にも精神安定剤が必要な人。純粋で人の言うことをつい信じてしまい疑いがない。
そんな「夢子ちゃん」の物語は過去の同氏の作品と比べるとその物語の深みという点において何というか深みがもうひとつ足りないような印象。
確かに独特の世界観で唯一無二の世界だと思うのだけど。作者が男性ということもあるのだろうか。
改めて「俺は、まだ本気出してないだけ」と「五反田物語」の偉大さを思いしらされる。
via PressSync