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ひびのいろいろ

【書評】自分でつくるセーフティネット~生存戦略としてのIT入門~

僕は佐々木俊尚というジャーナリスト(こういう肩書きで良いのかな??)が大好きだ。

毎朝8時にTwitterで配信されるニュースのキュレーションを楽しみにしているし、欠かさずチェックしてる。

その選び抜かれた記事は内容が濃いものが多い。最近見た映画のほとんども氏のお勧めのもの。つい先日見た「革命の子どもたち」もそうだったし、実際非常に面白いドキュメント映画であった。一時期はメルマガも購読していた。そしてその書籍も数冊購入して読んでいる。

この佐々木俊尚氏の最新作の書籍が「自分でつくるセーフティネット 生存戦略としてのIT入門 」だ。本書の結論は氏が述べているように

  • 生存戦略として 見知らぬ他人を信頼すること
  • 生存戦略として の多くの人との弱いつながり。
  • 生存戦略として の善い人
  • 生存戦略として の自分の中途半端な立ち位置を知るということ (P201)

に要約される。そしてそのような行動を起こすための場としてFacebookやTwitterといったSNSの意味の重要性を強調している。Facebookを単なる自己愛を満たす場(美味しい料理や、旅行、子どもの写真などを見せびらかす場としてではなく)としてでなく以下のような役割を果たす場だと氏は述べる。

わたしはFacebookの本当の意味は2つあると思っています。第1は 人間関係を気軽に維持していいくための道具.第2は 自分という人間の信頼を証明してくれる道具

そしてSNSに投稿すべきなのは

SNSへの投稿で一番大切なのは?読んでくれた人が「これは有用な情報だ」と想ってくれるかどうか (P57)

というものなのだという。何も出来ないなあと自ら考える人であってもSNS無償で有意義な情報を流してくれれば、それだけで他者になる善意になる。これは全くその通り。インターネットという空間は人間の本性を本当に良く現している場である、そこで他者への中傷/誹謗を繰り返すような人はやっぱりそんな人なんだろう。自分もインターネットで他者を悪く言うようなことは避けるように心がけている。現実世界ではそうではないのにネットの空間であるとつい、気が大きくなるようなことは慎まなければいけない。

そして氏の主張の最後の部分「生存戦略として の自分の中途半端な立ち位置を知るということ」が個人的に一番共感できた部分だ。親鸞の言葉の例を出したりして氏はその重要性を説いている。まあようは大人になりましょうということ。

大人になるということは

  • 状況を客観的に見れるように努力すること
  • 自分の不完全さを受け入れ、それに耐えうること(自分を諦める覚悟をもつこと)

なんだろう。このことは、現在の日本人にやっぱり足りない部分の1つなのではないだろうか。五木寛之の書籍などでも同じようなことが書かれていたように思う。

 僕が大好きなブロガーである @finalvent 氏などはまさにこの定義に当てはまるような大人だと個人的には感じる。

考える生き方
finalvent
ダイヤモンド社 ( 2013-02-21 )
ISBN: 9784478023235