【書評】失踪日記2 アル中病棟
僕はアルコールがからきり弱い。ビール一缶、350mlを飲んだだけで顔は真っ赤になってしまい、二缶飲もうものならなんだかとても眠くなる。そしてそれにもう一息、ワインをグラス一杯飲むだけで確実にノックアウト。ベッドの上で寝てしまう。
そんなに弱いのに呑むのは大好きだ。特に1人でポツンとしんみりと呑むのが好き。おそらく生まれつき何かに依存傾向に体質があるのだろうと思う。Apple製品に没頭してしまうのもそんな傾向のせいかもしれないし、とにかく逃避のためにアルコールを呑んでしまうところもあるのではないか。
仕事柄、アルコール依存の人と出会う機会もあるし、その壮絶さ、精神だけでなく肉体的にもボロボロになってゆく姿は幾度となく見てきた。
だから僕はアルコール依存になるのが怖い。どこかで歯止めがきかなくなってしまうようでとっても怖くなるときがある。余計な心配と思うこともあるけれど、でもこのままダラダラと飲酒をしていって、特に仕事がなくなってなにもしなくなったら朝から酒なんか飲んでしまうことになるのではないかと考えてしまう。
アルコール依存のチェックリストをしたらまだまだ大丈夫な感じだけど。
アルコール依存症の治療病棟の物語
そんな人ごととは思えない、アルコール依存症。その専門治療病棟のノンフィクションを描いた吾妻ひでお氏の作品が失踪日記2 アル中病棟だ。アルコール依存症として入院して(させられて)からの物語。病棟での様々な人間関係、入院プログラム、治療過程などが細かく、具体的に分かり易く描かれている。
入院中の様子だけでなく、AA(Alcoholics Anonymous )や断酒会などの自助グループなどの様子も途中で出てくる。具体的にどのようなことをやっているのかは自分自身は分からなかったので、その雰囲気を知れただけでも随分と参考になる漫画だ。
回復過程での創造性
作者は漫画家という元来とてもクリエイティブな職業。それに加えて道端のがらくたを組み立ててオブジェにするという趣味をもっている。
いつも感じることであるが、何かクリエイティブな作業を自分からやったり楽しめたりするということはとても大事なことだ。この作者にとっては自分の体験をこうやって漫画にすることでさえ随分と自分自身の治療になっていることだろう。
おそらくこういったクリエイティブな作業ができる人達というのは回復の度合いも良いのではないだろうか。
この漫画は前作がある。アルコールとは関係なさそうではあるがとてもネットでの評判も良いので、購入して読んで見よう。