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ひびのいろいろ

【書評】昭和のだめ男子中学生を描く漫画「昭和の中坊」

中学生の時というのは面白く、辛い時期だと思う。

 

 これほど世界が狭くって生きづらい世代もない。でもこれほど同性の仲間とバカ騒ぎをしてあどけなく笑える世代もこれ以降は少なくなる。色々なものに興味はあるけれど、色々な制約があってにっちもさっちもいかない。

自分の外見や、他人にどう思われているかが気になって仕方かなくってでも自分のことに自信がもてなくって。色々妄想だけは活発で。

 今思い出すと笑ってしまうようなバカなことばっかり。カッコイイ所は一つもない。懐かしくてしょうがないけれどもう二度とは戻りたくない時代。それが中学生の頃だろうと思う。 

 

昭和の中学生の等身大の姿を描く漫画

 Kindleストアで見つけたこの「昭和の中坊」という漫画はそんな中学生、しかも昭和の頃の男子中学生を描く漫画だ。前編男子中学生のエロ話。しかもバカで間抜けなエロ話満載のこの本。30–40代の人ならいずれか自分に当てはまることがあって思わず共感してしまうエピソードが蹣跚。どのキャラクターもぱっとせずイマイチなキャラクターであることが素晴らしく居心地が良い。

 やっぱり中坊って面白い。そしてちょっぴりせつない。仲間とこんなにもはしゃげる時期ってもうないんだろうな。

 惜しいのは巻が進むごとに1巻ほどのインパクトが薄くなってゆくということ。でもそれを抜きにしても充分にこの本は面白い。