【書評】この世でいちばん大切な「カネ」の話
西原理恵子さんの漫画はあまり読んだことはない。iPhoneの電子書籍で昔「晴れた日は学校を休んで」という虐めを扱った作品を読んだことがあるぐらい。その漫画はAmazonのレビューで代絶賛されているほどの名作。
今回読んだ本は・「Kindle本」のランキングで上位だったので何となく購入してしまった。つくづく他人の評価に騙されやいなあと自己嫌悪に陥ってしまうが、結果的に購入して大正解の本であった。
始めは財テク(言い回しが古いかな^_^;)の本かと読み進めてみたら全然違う。
いかにお金が大事であるか、幸せにはお金がいらない というような言葉がいかに現実味のないものかを作者の生い立ちを通して語ってくれる本だ。ここまで自己開示をしちゃってよいのかしら? と思うぐらい自分の半生について語っている。
「子どもだから現実の厳しさが分からないなんて、ウソだと思う。」
「あのね、貧困と暴力って仲良しなんだよ」
「貧しさは、人からいろいろなものを奪う。人並みの暮らしとか、子どもにちゃんと教育を受けさせる権利とか、お金が十分にないと諦めなければいけないことが次から次に、山ほど、出てくる。それで大人たちの心の中には、やり場のない怒りみたいなものがどんどん、どんどん溜まっていって、自分でもどうしようもなくなったその怒りの矛先は、どうしても弱いほうに、弱いほうにと向かってしまう。」
といった文章の一つ一つが心の中に突き刺さってくる。言われてみれば当たり前のことなんだけど、実体験を元に語っているだけに心に届く度合いが段違いで深い。
漫画しか書かれていないのかと思って、誤解していたところはあったけれどこの作者の本をもうちょつと色々読んで見ようかなと思う。
1月下旬には虐めを題材にしたであろう新刊も出版されるらしい。早速予約した。