FakePlasticTree

ひびのいろいろ

浮遊する時間

始発電車。いつも乗る場所は大体決まっている。車両の端。連結車両の近く。端の席に座り、半身を壁に預ける。だらしない姿勢。すこしのねむけに耐えながら朝の作業に取りかかる。大体20分ほどすると一息つく。一息つくというよりも、集中力が一旦途切れると言った方が正確かもしれない。

10年前より随分気力も衰えた。闇雲な情熱というのがなくなった。諦めが良くなった。無駄に気張らなくなって体が楽になった。少し諦めが早いのが自分の習性だが、それは長所として認めてもよい。

だから集中力が途切れてダラダラする時間が心地よい。少し意識を虚ろにさせる。座っている臀部の感覚とか、聴覚刺激とかiPhoneを触っている感覚だとか色々なものに意識を傾ける。感覚だけに自分を任せる。余計な考えや他人の悪意や欲望が頭に垣間見えることもある。それはそのまま放っておく。自分では積極的に関わらず浮遊する。

この過程で随分と自分の心が穏やかになってゆく。 そんな時間は結構贅沢だと思うのだ