ふたりの桃源郷
またまたポレポレ東中野だった。それはドキュメンタリー。つい先日の「さとにきたらええやん」に勝るとも劣らない素晴らしい映画だった
映画のタイトルは「ふたりの桃源郷」。65歳となって以前住んでいた山へ夫婦で帰る。そこは自給自足の生活。電話や電気は通っていない。水も自前で用意する。フィクションではなくドキュメンタリーだ。
65歳から自給自足の生活をするなど余程の決意と技術がなければできないことだろう。楽しそうに幸せそうに日々の生活をおくる2人の映像にはこころ和まさせる。
- 寝室は壊れたバスの中にベッドを置き、そこに2人で寝る。その仕草がたまらなくチャーミング。
- 手作りの蒟蒻汁を2人で食べる姿もこの上なく美味そう。
- 月に一度ATMでお金をおろしに行く姿もコミカルで面白い。
- 山に茸を採りにいき、中々帰ってこないお爺さんを呼ぶお婆さんの声がとてつもなく可愛い
そのひとつひとつの風景は、ドキュメンタリーならでは。自然な人の表情に心底感動させられる。そしてお婆さんが心底、お爺さんに惚れているんだなあということが如実に伝わってくる。これは還暦をすぎた既婚男性にはたまらないだろう。少し夢を見てしまうかもしれない(実際この映画に出てくるような夫婦は日本で数組ぐらいしかいないのではないか)
このノンフィクションは20年以上に渡ってこの夫婦を撮り続けている。従って映画の後半では当然2人は老いてくる。その2人を支えるのは子ども達。特に三女の方の献身ぶり(親孝行ぶり)には頭が下がる。
もうこの映画を見ている現代という時代に2人はいない。90歳を少しすぎて2人は亡くなられた。 見終わった後になんとも温かくなれる映画であった。やっぱり家族って良いものだな、でも僕はこんな人生は送れないだろうなとふと寂しくもなった。