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ひびのいろいろ

【書評】ど根性ガエルの娘

梅さんの出前鮨 と 平日の夕方

 昭和50年代から60年代にかけて学校から帰ってきて夕食が出来るまでのちょっとしたひととき。僕は良くコタツに当たりながらテレビをみていた。テレビの内容はアニメが多く、中でも印象に残っているのは「ど根性ガエル」だった。

ど根性ガエルの思い出の1つはやっぱり主題歌

優れたアニメは主題歌も印象に残る。ど根性ガエルも例外ではない。今でも主題歌は全部歌えてしまう。

ど根性ガエルの2番目の刮目すべき点は出前の鮨(僕の場合)。いつも場面の区切りで出てくる出前鮨がメチャクチャ魅力的だった。ど根性ガエルのアニメが放映されていた頃は、回転寿司なんてなかった。だから鮨といえば超高級品だった。まあ今でもそうだと思うが桁が違った。鮨なんて冠婚葬祭の時しか食べられなかった。そんな僕はど根性ガエルのアニメを見る度に鮨が食いたいなあと思っていたものだ。

アルコールとギャンブルそしてドメスティックバイオレンス

吉沢やすみ氏はこの 「ど根性ガエル」の作者だ。そしてこの物語の主人公である酷い?父親だ。

アルコールとギャンブル、生活費もろくに稼がず自宅にほとんどいない父親。有名漫画家であったものの突如として仕事をすべて無にして失踪してしまう。そんな生活を少しのユーモアを加えながら描いている。きっとこういう漫画を書けるのだから筆者はある程度自分の中で消化しているのだろう。そして何よりもこの作者は母親とそして何よりも父親にも愛されていたのだろうと思う。そうでなければこんな内容の物語は書けない。

父親も自身の弱みを噛みしめながら、それでも必死に生きていたのだろうと思う。そんな思いの一欠片が家族に伝わったのかもしれない。

思わず考えてしまうのは

それにしても母親が看護師の資格をもっていて良かったよなあ、とか余計なことばかり考えてしまう。やっぱり人間は生きて行く糧というか術は必要だな。それがあってこその優しさだよなあと切に感じる。