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ひびのいろいろ

成人期の発達障害の人々にとって一縷の望みともなるかも知れない本

成人の発達障害が注目 されはじめたのはここ数年のことだと思う。

絶対数が増えたというわけではない。その特性は生涯変化することはあれ、形を変えながらも持続していく。なので発達障害という特性をもつ人々はどんな時代でもある一定の数存在するということはまぎれもない事実としてある。

今まではそういう人々は人知れず苦悩し苦労し、そして工夫を自己流にしながらもなんとか生活を送ってきたに違いない。その努力は想像を絶し、そして必ずしも全ての人がなんとかやれているわけでもないのだろうと思う。

その障害が世間に認知されるようになって初めて、その生活のノウハウ、勘所が知識として集積される。そういった意味で本当にこれからまだまだ対応と生き方の方法が進んで行くものなんだろう。発達障害は小児期の対応方法について、特に就学前については随分と対応方法が進化してきた。制度的にもそうだ。しかし、成人期についてはまだまだ。その専門の医療機関も少ない。診断だけされて路頭に迷う人々も少なくないだろう。

そういう意味で今回呼んだこの書籍は、成人の発達障害の方々にとって"一縷の望み"となるような書籍なのかもしれない

  • 第1章 働き始めてから感じる違和感とつまずきの原因を理解する
  • 第2章 自分の体と心をケアする方法
  • 第3章 職場でのサバイバルストーリー~事例から学ぶ~
  • 第4章 ストレスを溜めずに働き続けるヒントQ&A

この書籍の非常に素晴らしい所は豊富な事例を挙げてくれている所と、実際に有用な具体的な社会生活に必要な手段を具体的に挙げてくれている所だろう。 そして何よりも強調しているのがメタ認知の重要性。ようは自分の立場を第三者の視点から見られることができるようになること。一人称や二人称でなく、三人称的視点から自分のことが見られることができるようになること。

メタ認知 - Wikipedia

それは認知行動療法の最終的な目的でもあるかと思う。それを1つの能力として自然に獲得できるようになるには並み大抵のことではできないだろう。やっぱりそこは第三者の介入が必要となるのではと思う。しかしその解決方法があるということを知るだけで随分と救われるに違いない。

そしてこの書籍は日常生活に確実に役立つであろう様々なツールも合わせて紹介している。これが実に実用的。自分も日常診療の中でこのエッセンスを取り入れても良いかなと考えているぐらい。文体も読みやすいので非常にオススメできる書籍だ。