FakePlasticTree

ひびのいろいろ

A2

「A」に続くドキュメンタリー第2作

「A」は衝撃的なドキュメンタリーであった。オウム真理教の幹部が続々と逮捕された後の荒木広報部長を追った作品。個人的には荒木広報部長が里帰りする姿がなんとも印象的であったのを覚えている。

FakePlasticTree - ドキュメンタリー”A”

本作はオウム真理教の内部に徹底密着したドキュメントの第2作。オウム真理教からアレフへと団体が移行した時期(2000年ごろ)のもの。

オウム真理教(アーレフ)の中堅幹部たち

本作ではオウム真理教の中堅幹部達の姿を中心に映像が流れる。中堅幹部達の誰もが穏やかで優しそうな青年。あの当時マスコミで流れていたイメージとはかなり違う彼らの姿。

印象的だった元同級生との再会

印象的であったのはある信者と同級生との再会の場面。同級生は新聞記者となってオウムを取材する側となり、大学の同級生である信者と再会する。

その両者の会話が恐ろしいほど噛み合わない。信者のほうは「何でそんな人を時として傷つけるような仕事、報道局の意思に逆らえないような仕事をするのだ」と話せば、記者のほうは「家族が心配しているよ。」と返す。

兎に角まったく議論になっていない。

オウムを取り巻く人々との関係

 本作ではオウム真理教と地域住民との交流、オウム真理教に対する右翼の姿、マスコミとの関係 などが作品のあちこちに出てくる。地域住民との間には妙な親近感が生まれてきていて、オウムがその地域を退去する際には一緒に片付けなどを談笑しながらしたりしている。

 そんな奇妙な関係性があったことなど僕は当時は全く知らなかった。まあそういった関係性は一部だけだったと思うのだけれど。

兎に角色々な側面からオウム真理教とそれを取り巻く環境を映像化していて大変興味深い。撮影者の意図は可能な限り排除されていて淡々と映像が流れてゆく。ナレーションに相当するような音声も文字も一切入っていない

そういった分、自分で色々と考えないといけない。面白いというより、考えさせられる内容だった。「何故彼らはあのような事件を起こしたのか」「何故彼らは松本 智津夫についていったのか」

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