もし自分がまだ若く、子どもが成人したあとの人生を知らなければ、きっとここまでこの作品に強く心を打たれることはなかっただろう。年齢を重ね、親としての経験や悩みを持ち、さまざまなことを通過してきた今だからこそ、この映画の切なさや温かさが胸に響く。
1990年公開のイタリア映画「Stanno tutti bene(みんな元気)」のリメイクとして、2009年にロバート・デ・ニーロ主演でアメリカ版が制作された。さらに2016年には中国でも制作されたらしい。こうした親子の関係性は、全世界共通のテーマなのだろう。
物語の中で描かれているのは、「子どもは親の思う通りには育たない」という非常に普遍的な現実だ。親ならば理解しているつもりでも、心のどこかで自分の願いや期待を重ねてしまう。そのギャップの切なさ――思い通りにならない現実と、それでも変わらず子どもを思う親心――が、とてもリアルに描かれていると感じた。
この映画の良いところは、子どもたちがそれぞれ人生につまずき、うまくいかない姿を描いていることだ。人生は必ずしも明るく順調なわけではなく、迷いや悩み、挫折を抱えながら生きていくものだと改めて気づかされる。だからこそ、彼らの姿に親しみやすさと、ほろ苦い共感を覚えた。
主人公である父親は電線工事の技術者という「つなぐ」仕事に従事しており、その職業が物語全体のテーマとも重なっている。家族の絆、途切れそうな繋がり、そしてやはり最後には人と人が「つながる」ことの大切さ――この映画はそのことを静かに、しかし確かに伝えてくれる。
これから親として歳を重ね、子どもたちの人生を見守る側になる自分にとって、とても心に残る作品だった。